真珠のプロに聞いた真珠の正しいお手入れと保管方法

真珠はデリケートでお手入れが大変と思っていませんか?実際そうおっしゃるお客様が少なくありません。けれど、コツさえわかってしまえば真珠のお手入れは難しいものではありません。せっかくの真珠、恐々とたまにしか付けないのではもったいないです。お手入れのコツを覚えてどんどん身につけて欲しいと思います。
そこで、日頃お客様から聞かれる真珠のお手入れについてご紹介します。この記事を書くにあたっては、私自身も疑問に思う部分もありましたので、自信をもってお答えできる様に三重県で真珠養殖業を営むプロに話をお聞きしました。

まずはじめに、真珠ジュエリー全般にやってほしい真珠の基本的なお手入れ方法を教えて頂きました。

真珠の基本的お手入れ

1、水で濡らして硬く絞った柔らかい布で優しく表面を拭く。(省略して2からでも良い)
2、乾いた柔らかい布で優しく拭く。
3、しばらく日陰で乾かす。(直射日光は避けて)
4、ケースに入れて保管する。

夏など、汗を沢山かいたり、日焼け止めを塗ってネックレスをしていた時など、真珠についた汗や化粧品が気になる時は1の水拭きを行って下さい。それ以外の時は1を省略しても構いません。

そのあと、乾いた柔らかい布で優しく拭きます。専用の真珠クロスも販売されていますので購入されても良いと思います。気をつけるのは、銀製品を磨くシルバークロスなど研磨剤を含んでいるものがあって、それで真珠を磨くと逆効果になります。見た目で分かりにくいものもあるので拭く前にご確認下さい。

拭いた後はしばらく日陰で乾かして下さい。真珠のネックレスは真珠そのものもそうですが、繋いでいる糸も汗の影響を受けています。しっかり乾燥してから保管する事が長持ちさせるコツです。

保管は他のジュエリーと触れない様に専用のケースに入れて下さい。できれば真珠専用の調湿剤を入れておくと安心です。

この様に、水拭き→乾拭き→乾燥→保管

が基本的な真珠のお手入れです。覚えてしまうと簡単ですよね?

御祖母様から受け継がれたあこや真珠のネックレスとイヤリング。真珠はお手入れが大切です。

真珠を長くきれいに使うために知って欲しいこと

真珠のお手入れで一番気をつけて欲しいのは水分です。真珠に触れる水分が多くても少なくてもダメージの原因になります。言い変えると湿りすぎ(水分過多)、熱・乾燥し過ぎ(水分過少)の事です。

湿りすぎによるダメージ
真珠に付いた汗をそのままにしておくと真珠の表面が侵されて微細な凸凹が出来ます。それが光を乱反射してしまうためテリがなくなりボケた印象になります。これが進むと白濁してしまいます。これを防ぐには外したらすぐに拭く事です。上記の1〜4の方法でお手入れして下さい。

熱・乾燥しすぎによるダメージ
乾燥しすぎると真珠は収縮してしまいます。これは真珠が含んでいる水分がなくなって起こるものです。これを防ぐには、身につけている時は暖房の熱風があたり過ぎない様にする事、夏の車内など高温になる場所に放置しない事、調湿剤と一緒にケースに入れて保存する事が有効です。

その他気をつける事
化粧品、香水、ヘアスプレー、日焼け止めなどは真珠にダメージを与えます。お手入れを忘れず行って下さい。飲食料品ですとお酢やドレッシング、ワインなどのアルコールも良くありませんので、付いてしまったらその部分だけさっと水洗いして下さい。それと防虫剤も良くありません。意外な盲点なのですが、べっこう製のジュエリーに虫食い防止に防虫剤を入れている場合があります。これと一緒に真珠を保管するのは良くありませんので、同じ所に保管しない様にして下さい。

それと、たまに水道水は塩素を含んでいるから真珠に接触させてはいけないと書いてあるサイトを見かけますがそれは間違いです。
少々難しい話になりますが、日本で飲まれている水道水は水道法において厳格に管理されていて、水質基準はpHは5.8以上8.6以下と決められています。中性が7.0で数字が小さくなるほど酸性、逆に大きくなるほどアルカリ性です。真珠に近い成分で出来ている歯のエナメル質が溶け出すpHは5.5です。歯のエナメル質はリン酸カルシウム、真珠層は炭酸カルシウムで出来ています。水道水は上記の基準値を見ると、最も酸性に傾いても5.8なので真珠が溶け出す事はありませんのでご安心下さい。

正倉院宝物の真珠が未だに残っている事が真珠は正しいお手入れと保管で長持ちする事を証明しています。過度に怖がらず、適切なお手入れと保管で上手に真珠のジュエリーを楽しんで下さいね!

今回は真珠のお手入れと保管方法の基本編でした。
真珠のお手入れと保管その2を近いうちに書きますね。

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アートトリップマガジン 「風のかをり」

あえて知らない場所へ行き、まだ見たことのないその地から受ける刺激は新たな創造の種となってくれます。 その土地の気候、動植物、住む人たち、食べ物といったその場所の全てが作り出す空気感を私は「かをり」と呼んでいます。 たとえ徒歩で行ける場所でも、そこから何か刺激を受け取ったらそれは旅です。 距離の長短ではなく、日常とは違う、自分の人生をより良くしてくれる刺激を与えてくれる場所に行くことを私は旅と呼んで、そこから感じたかをりをお届けします。