日本人の多くが知らない翡翠にまつわる2つの間違いとは

翡翠色の神秘的オーラはは人を魅了する

先日、買い物に入ったお店の女性が手首に淡い緑色のバングルをしていました。

翡翠かなぁと氣になって聞いたところ、やぱりそうでした。嬉しそうに笑いながら、母にもらったお守りなんだと教えてくれました。

無垢の翡翠で出来たバングルは主に中国女性がしているのをよく見かけます。バングルだけでなく、翡翠のついたネックレスを身につける人も多いです。中国の人はとても翡翠を大切にしています。指輪はあまり見ないのは、ぶつけて割れたりしたら嫌だからだそうで、翡翠の指輪は割れるといやだからカバンに入れて持ち歩くと言う女性がいるくらいです。

中国人が翡翠を他の鉱物比べて特別大切にする理由は、長い長い中国の歴史の中にあります。

そして、中国のほかにもニュージーランドと南米も翡翠をとても大切にする歴史を持っています。それぞれ遠く離れた3つの国、地域で愛されている緑色の宝石にはどんな歴史があるのか?そんなお話をしたいと思います。

まずその前に、翡翠とはなんなのか、どんな鉱物なのか詳しく見ていきましょう。多くの日本人がまだ誤解している翡翠にまつわる2つの間違いがあります。これを知ることは翡翠の歴史を理解する上でとても大切なのです。

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翡翠の科学データ

実は、翡翠はとても紛らわしい鉱物です。ひとくちに翡翠と言っても硬玉と軟玉と呼ばれる二つの鉱物があるのです。日本で高評価さえている翡翠は前者の硬玉です。

まずは鉱物学的な二つの違いを見ておきましょう。

硬玉(ジェダイト/Jadeite)俗に本翡翠と呼ばれます。

分類 珪酸塩鉱物

化学成分 NaAlSi2O6

主なる色 緑の他赤、白、紫、青、橙、黄、黒など

透明度 良質なものは透明に近い。普通は半透明、不透明

光沢 玻璃光沢(はりこうたく)

結晶系 単斜晶系

硬度 6.5~7

比重 3.30~3.36

屈折率 1.654~1.667

複屈折率 0.013

分散度 -

へき開 なし

多色性 なし

主産地 ミャンマー(ビルマ)

軟玉(ネフライト/Nephrite)

分類 珪酸塩鉱物

化学成分 Ca2(Mg,Fe)5(Si4O11)2(OH,F)

主なる色 薄緑、暗緑、黒

透明度 半透明、不透明

光沢 玻璃光沢(はりこうたく)

結晶系 単斜晶系

硬度 6~6.5

比重 2.90~3.02

屈折率 1.606~1.633

複屈折率 0.026-0.027

分散度 -

へき開 なし

多色性 なし

主産地 中国、ニュージーランド、ロシア、アメリカ、カナダ

翡翠にまつわる二つの間違い

硬玉と軟玉の大きな違いは、硬玉の方がモース硬度、比重、屈折率が高いことです。さらに重要なのは、硬玉の緑色は軟玉よりも深く鮮やかで軟玉と比べてはるかに高く評価されている事です。硬玉、軟玉ともにジェードと呼ばれるために、硬玉と思い込み実際は軟玉に高額な出費をしてトラブルになる事もあります。

硬玉のなかでも透明度が高く、色鮮やかのものほど高価格になります。

色について、硬玉=緑色と思われていますが、実は緑色だけでなく様々な色があります。赤、白、紫、青、橙、黄、黒などがあって、中でも紫色のものはラベンダー・ジェダイトと呼ばれて近年愛好者が増えています。一方、軟玉(ネフライト)は薄い緑色、やや暗い緑色、黒が主な色で硬玉のように赤や紫はありません。

ちなみに、ひすいは”翡翠”と漢字で書きますが、この語源はカワセミから来ています。翡は赤色を翠は緑色を表していて、カワセミの色は羽は緑色、腹は赤色、背から尾にかけて青色をしている事から翡翠の名が付けられました。

日本でも新潟、北海道、鳥取でひすいが取れますが、色が良く、品質の優れたものは稀で産出量も少なく、日本ひすいと呼ばれる物の中にはネフライトも含まれる事から、ひすいと言われる鉱物にも2種類ある事は覚えていた方が良いです。

これが一つ目の間違いです。

ラベンダージェイドのリング
ラベンダージェイドのリング

二つ目の間違いは、ひすいの産地です。冒頭でも書いた様に硬玉は中国でとても人気のある宝石のため、中国産と考えられがちですが、実は中国では産出していません。硬玉の産地はミャンマー(ビルマ)です。昔は流通を中国が独占していたため、中国産とのイメージがついてしまいましたが、今は採掘、販売などの全てがミャンマーによって国有化されています。今では産出量が減っているにも関わらず、相変わらず人気なため価格の高騰が著しいです。

軟玉は比較的多くの地域で産出していますし、量も豊富です。
中国ではネフライトが豊富で玉器彫刻芸術の発達につながりました。その他の地域では、ニュージーランドジェード、アラスカジェード、ワイオミングジェード、ブリティッシュコロンビアジェード、台湾ジェードがあります。いずれもネフライトであり、ジェダイト(硬玉)とは違うので価値判断は注意が必要です。

その他、緑色をしている鉱物に◯◯ジェードの名前をつけているものもあります。このような名前をフォールスネームと呼び、正式な宝石名ではないのでご注意下さい。例として、トランスバールジェード、南アフリカジェード、カリフォルニアジェード、オーストラリアジェード、インディアンジェード、スウチョウジェード、アマゾンジェードがあり、いずれもジェダイト、ネフライト以外の鉱物のフォールスネームです。

知識を増やせば宝石選びが楽しくなります

このように翡翠には2種類の鉱物がある事、硬玉(ジェダイト)は様々な色が、軟玉(ネフライト)は緑と色の種類が違い事、硬玉軟玉の産地があきらかに違う事、フォールスネームが数多くある事を知っておくと海外で翡翠を買う時などのお役に立てるかもしれません。

最後に、良質な硬玉が高値で取引されるため、緑に染めた鉱物をジェダイトと言って売られているケースもありますので、購入する際には良く見て、よく話を聞いて、その金額が妥当かどうか判断して下さい。

翡翠色の神秘的オーラはは人を魅了する
Photo by David Clode on Unsplash

この記事は以下書籍を参考に書きました。いまでは絶版のため中古本を探すしかありませんが、宝石好きなら持っていたいとても詳しい内容です。

宝石その美と科学/近山晶著

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