パワーストーン好きなら知っておきたい 世界一古いパワーストーンは何か知っていますか?


パワーストーンと言って、宝石や鉱物に何か特別な力があると信じられているのは現代に限った話ではありません。宝石、鉱物の持つ特別な力を信じて、人間の力を超えた奇跡を願って用いられているのは古代から見られます。
筆者は、商業的目的において使われる根拠のないパワーストーンのうたい文句には賛同できませんが、歴史的な事実として宝石鉱物が宗教的、呪術的に用いられている事は面白いと思っています。

今回は歴史上に見るパワーストーンの話をご紹介します。

前回、ひすいにまつわる2つの誤解についてお話しました。

ひすいには硬玉と軟玉の2種類の鉱物がある事、硬玉と軟玉では産地が明らかに違う事の二つの誤解でしたが、今回の話にも関連しているのでぜひお読みください。

離れた3つの国、地域に共通すること

面白い事に中国、ニュージーランド、南米の3つの国と地域は、歴史的接点が無いにもかかわらず、共通するものがあります。それが翡翠なのです。共に翡翠を宗教的、呪術的な使い方をしていました。

それぞれが翡翠を取り入れた背景には、素材が手に入りやすかった事が挙げられます。中国とニュージーランドは自国から軟玉(ネフライト)が豊富に産出されました。一方、古代マヤ文明で硬玉を用いた遺跡が出ている事から、南米のメキシコ、グアテマラ地域では硬玉が産出され、それぞれ加工して文化に取り入れていたと考えられていますが、現在は硬玉の産出地がどこなの判ってい無いのも面白いところです。

現在では翡翠のうち硬玉はジュエリーに、軟玉はジュエリーと彫刻などの工芸品に加工されるのがほとんどですが、歴史的に見ると翡翠は宗教的な色合いの濃い使われ方をしていました。

具体的にどのような使われ方をしていたのか3つの国と地域ごとに見ていきたいと思います。

3つの国と地域それぞれの翡翠の歴史

中国

古代中国では、翡翠だけでなく美しい石すべてを玉(ぎょく)と呼んで王侯貴族の間でさまざまな物に使われていました。その中で翡翠だけが使われ、他の鉱物の例があまり無いものがあります。それは死者と共に埋葬する副葬品です。死者の人体に入れる事でその体は朽ちる事なく永遠にその形を留めると信じられていました。その具体的な使われ方は、

-耳や目、口など-口中に入れる翡翠を「唅(がん)」耳用のものを「瑱(てん)」さらには手に握らせたものを「握(あく)」といい、特に口中に含ませた翡翠には、蝉の形をしたものが多い。唅蝉(がんぜん)と呼ばれる、死者の口に入れられた翡翠で、古く漢の時代からあるものだ(出典:ジュエリーの歴史/山口遼著)

とあるように、体の数カ所に忍ばせる使い方をされていました。他には中山国王の劉勝の墓から出土した王衣は

実に2490枚の翡翠の薄い板を細い金線で縫い合わせた屍衣で遺体をすっぽりと包み込んでいる(出典:同上)

ととても手間のかかる加工がされたもので、翡翠の防腐作用が強く信じられていた事を伺わせます。

ニュージーランド

次にニュージーランドは、先住民のマオリ族が翡翠と長い関わりの歴史を持っています。

ネフライとの鉱脈を発見したマオリはそれを用いて武器や日用品だけでなく”ヘイティキ”とよばれるお守りを作りました。ヘイティキは極端にデフォルメされた人間の形をしていて、人間の誕生を意味していると思われます。

ヘイティキの使われ方は

この翡翠で作ったヘイティキが持っている力をマナと呼び、その力は接触した人間の持つ力により生ずるものと信じた。ある人が死ぬとヘイティキも一緒に埋葬されるが、一定の期間が立つとヘイティキは掘り出され子孫や親友が身につけ、これによって新しい使用者の持つ力がこのヘイティキに乗り移ると信じた。(出典:同上)

とあって、所有者を変えた歴史が多いヘイティキほど魔力が強いものとして貴重に扱われました。

ヘイティキは今ではニュージーランドのお土産として売られていますが、素材は軟玉に限ら無いようです。

南米

南米地域のメキシコ、グアテマラ付近でかつて発展していたオルテカ、マヤ、アステカ文明には共通する事があります。それはやはり翡翠で、しかも中国、ニュージーランドとは違い、硬玉を用いていた点が大きな特徴です。

紀元前8000年から始まるマヤ文明では軟玉より硬い硬玉を加工する技術がすでにあった事が出土品からわかっていて、その加工技術は先の中国、ニュージーランドよりも高かったのは驚く点です。

硬玉を使って作られたものは、小さな像、仮面、宗教的模様の入った石板などでジュエリーの類はみられません。翡翠の使われ方の中で

この地方に住んでいたインディオは翡翠には生命力を豊かにする力があるものと信じ、生命力との接触を死後も絶やさ無いようにと死者の口に翡翠を忍びこませた(出典:同上)

と死者の口に入れる使い方は中国の唅蝉と似ていて、異なる場所で同じ使われ方をしていた事に興味を覚えます。

古代人が翡翠を用いた共通点

このように異なる3つの国と地域で翡翠が宗教的、呪術的意味で共通に用いられてきたのはとて面白いです。

古代人は翡翠に他の鉱物にはない不思議な力を感じたのかもしれません。現代ではたくさんの鉱物がパワーストーンと呼ばれていますが、もっとも歴史のあるパワーストーンは翡翠だと言って間違いないでしょう。

 

この記事は下記書籍を参考に書きました。

アイキャッチ画像はWikipediaよりお借りしました。

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