宝石はウソをつかない。インクルージョンが語る本当の事


インクルージョンとは宝石の内包物の事ですが、鉱物ならほとんど必ず入っているもので、産地や天然or合成の違い、加熱処理の跡など様々な情報が読み取れます。そのためインクルージョンは鉱物の出生証明書のようなものなのです。

インクルージョンの種類はたくさんあって、手元の資料、宝石学必携/近山晶著を見ても、40種類近いインクルージョンが紹介されています。

インクルージョンは肉眼で見えるものから、拡大して初めて見える微細なものまで様々ですが、10倍ほどのルーペで覗く事で得られる情報も多いです。この事は、宝石鑑別をする人だけでなく、宝石やジュエリーが好きな一般の人でも、ルーペでインクルージョンを見てその結晶の誕生に思いを馳せて楽しめる事を意味します。

インクルージョンの楽しみ方

インクルージョンと言うと宝石の傷と見なされますが、鉱物ならほとんど持っているもので、それだけにインクルージョンが見当たらない宝石は希少なのです。

宝石の価値的に見るとインクルージョンは有難いものではないですが、一つ一つの個性として見るとなかなか面白いものです。鉱物が産まれてどのような過程を経て最終的にあなたの手の中にあるのか、その情報を内包しているのですから。

天然の宝石と人工的に合成された宝石の鑑別などになると、専門家が拡大顕微鏡で精密に検査するレベルなので、一般のルーペで区別する事は難しいですが、手持ちの宝石をルーペで覗いて、見えるインクルージョンから色々想像するのは楽しいものです。

例えば、コランダムの仲間であるルビーやサファイアのインクルージョンにはルーペで見る事も出来るものがあります。

コランダムのインクルージョン

コランダムによく見られるインクルージョンに”シルク・インクルージョン”があります。これはローズ・クォーツにも見られる事がありますが、主にコランダムに現れ、ビルマ(ミャンマー)やスリランカ産によくみられます。

シルク・インクルージョンの顕微写真
シルク・インクルージョンの顕微写真(資料提供・近山晶宝石研究所)

コランダムの中にルチル(金紅石)が細い針状になって内包されているのですが、これが互いに120度で交差しているので絹糸のように見えます。そのためシルク・インクルージョンと言われています。

シルク・インクルージョンが特に密になっている結晶を、インクルージョンに対して直角方向にカボションカットするとスターサファイア、スタールビーといった6本足のスター効果が見れます。この様に、どの方向にカットしてもスター効果が出る訳ではなく見られる方向があるため、宝石がカットされる前はどんな原石だったのかと想像するのも楽しいものです。

この様に専門家のような機材がなくても、ルーペで見る事の出来るインクルージョンもあります。手持ちの宝石の中の小さな住人を見つけて、地球のロマンに思いを馳せてはいかがでしょうか?

このページのインクルージョンの画像は近山晶宝石研究所の承諾を得て掲載しています。

その他の画像は/Photo by Joseph Gonzalez on Unsplashよりお借りしました。

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