宝石フォスフォフィライトとはどんな鉱物なのか魅力を語る


今日はフォスフォフィライトについて書きたいと思います。

”今日は”なんて書いて、あたかも1日でサクッと書いた様に見せていますが、実のところはフォスフォフィライトの事を調べても欲しい資料がなかなか見つからず、公開するまでに結構時間がかかりました。

なぜこんなに資料が見つからないかと言えば、このフォスフォフィライト、今まで宝石としてあまり使われて来なかったからです。宝石の中でもメジャーな、ダイヤモンド、ルビー、サファイアなどの資料は豊富なのに、それと比べたら日本語の資料の少ない事!そのため、止むを得ず海外の資料を読み漁りましたが、当然英語で書かれているので理解するにも時間がかかりました。ここに書いた事のほとんどは英語の資料を読んでまとめました。

と言うわけで、フォスフォフィライトの世界へ参りましょう〜。

はじめまして、フォスフォフィライトです。

あまり知られていなかったフォスフォフィライトが最近注目を浴びるようになって来たのは、アニメ宝石の国の人気のおかげです。物語の一番最初に登場するフォスフォフィライト(愛称フォス)は脆くて繊細なイメージで、ペパーミントグリーンの色が印象的なキャラクター。このフォスのモデルが鉱物のフォスフォフィライトというわけです。

澄んだペパーミントグリーン色が印象的なフォスフォフィライトですが、それ以外にどんな特徴があるのでしょうか?

フォスフォフィライトの特徴

フォスフォフィライトの特徴として一番にあげたいのが結晶の形です。

フォスフォフィライトの結晶
フォスフォフィライトの結晶(出典:Rob Lavinsky, iRocks.com – CC-BY-SA-3.0 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
 上の写真のフォスフォフィライトはボリビア・ポトシ地区で産出されたもので、先端が矢の羽の様にVがたに尖った形をしています。これは、魚の尻尾に似ている事からフィッシュテイルと呼ばれていますが、この様に同じ鉱物がある一定の法則で交わっている事を双晶と言って、他には日本式双晶が有名です。

日本式双晶
日本式双晶(出典:作者 Didier Descouens (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 4.0], ウィキメディア・コモンズ経由で)
フォスフォフィライトの結晶は双晶の形をしているのが一般的ですが、この様に完璧な形の結晶は最近では発見されていません。

グレードの高いフォスフォフィライト
グレードの高いフォスフォフィライト(出典:Rob Lavinsky, iRocks.com – CC-BY-SA-3.0 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons)
上の写真も綺麗な双晶のフォスフォフィライトですが、これは4つの結晶が一緒に成長した”ダブルツイン”です。ペパーミントグリーンの色も美しく、透明度もあるこの結晶は50年以上前に発見されて、その希少性からコレクターからは”鉱物の聖杯”と呼ばれています。

この様に、過去に発見された完璧な姿の結晶のほとんどはコレクターの手に渡っているので、綺麗な結晶を現在手に入れるのは困難です。現在流通しているフォスフォフィライトは欠けた結晶などをカットしたもので、数カラット以下の小さなものがほとんどです。

そう、フォスフォフィライトはとても割れやすいのです。

割れやすいフォスフォフィライト

フォスフォフィライトのモース硬度は3~3.5、真珠、サンゴなどとほぼ同じくらいの数値で、ジュエリーに使うにはとても柔らかい数値です。とはいえ、真珠やサンゴのジュエリーは多く見かけるので、フォスフォフィライトのジュエリーもありそうに思えますが、靭性が”poor”と脆いので、ちょっとした衝撃で割れてしまい、ジュエリーには向かないのです。市場に出回っているファセットカットのフォスフォフィライトは、ジュエリーに仕立てるためにカットされたと言うよりも、観賞用としてカットされたと思った方が良いでしょう。

ジュエリーとしての耐久性はない儚さも、この宝石の魅力の一つになっているのではないでしょうか?

価格は小さくてもペパーミントグリーンの色が良いもの、透明度が高いもの、インクルージョンが少ないものほど高くなります。

フォスフォフィライトはレアストーンなのか

レアストーンの基準は明確に定義されていませんが、以前書いた記事↓で、市場に出回っているレアストーンからその共通点を探したところ、

コレクターを熱狂させるめずらしい宝石 レアストーンとはなんなのか。

1、希少性においてその産出量と産出地が特に少なく、

2、色味において他の類似色鉱物と違いを有し、

3、カットに耐えうる硬度のもの

の3つを備えたものがレアストーンだと書きました。

硬度が低いですが、カットされたものもあり、1〜3の条件を満たしているフォスフォフィライトもレアストーンと言えます。

フォスフォフィライトの鉱物情報

フォスフォフィライトはモース硬度が低く、靭性も低い。さらに劈開性も持っているのでとても割れやすい石です。おまけに産出量が少ない。とジュエリーにするには弱点になる特徴の中に魅力が隠れている様です。

とはいえ、ジュエリーは美しさに加えて耐久性も重視されるので、硬度、靭性、劈開は重要な情報です。最後にそれ以外の鉱物情報も記載しておきます。

英名 Phosphophyllite

分類 リン酸塩鉱物

結晶系 単斜晶系

化学成分 Zn2Fe(PO4)2 · 4H2O

透明度 透明、半透明

主なる色 明るい青〜緑、透明

光沢 ガラス質、準ガラス質、樹脂光沢、ワックス光沢

硬度 3~3.5

比重 3.07 – 3.13

屈折率 1.59-1.62

複屈折率 0.021

分散度 非常に弱い

へき開 1方向に完全

多色性 なし

靭性 脆い

断口 貝殻状

主産地 ボリビア、オーストラリア、チェコスロバキア、ドイツ、フランス等

 

アイキャッチ画像:Photo by Victoria Kure-Wu on Unsplash

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