ジュエリー3部作の最後はお祖母様へのありがとうの言葉を込めて
ご結婚を控えたお客様からのご依頼は
「家族への感謝の気持ちをジュエリーに込めて贈りたい」
というものでした。
お祖母様、お母様、お姉様へありがとうの気持ちを込めたブローチ作りのはじまりです。
恥ずかしがり屋のお客様の伝えたい言葉を隠し味にしたジュエリー三部作。
今回ご紹介するのはお祖母様へ宛てた感謝のジュエリーです。
お母様宛ては
お姉様宛ては
でご紹介しています。
またお客様のウエディングドレスに合わせたパールのネックレスのリメイクもご紹介しています。
オーダーメイドはお客様へのヒアリングからはじまります。
将来の夢はパイロット。とてもカッコ良い印象のお祖母様
「とても自立したひと。昔はパイロットになりたかったらしいです。おてんばさんで好き嫌いはっきり、がんばりやさん、辛抱強い。お料理は得意じゃなかったみたい(笑)」
「浅田真央ちゃんが大好き。現在入院中だけれどリハビリ頑張っている。明るくユーモアがあって病院のアイドルらしいです。菊の花が好き。」
お客様の言葉からは、活動的で明るいイメージを感じました。
パイロットになって空を飛び回る事を夢見ていたおてんばな女性
頑張り屋さんでリハビリも頑張っている女性
いつもユーモアを忘れない女性。
お祖母様が好きな菊の花は茎が1本すっと通っていて凛とした印象です。
そんなイメージからデザインを考えていくことにしました。
活動的で凛とした女性をイメージしたブローチデザイン
このブローチを身につけるお祖母様の印象をどんな風にデザインしようかと考えた時に、一番気になったのが菊の花のすっと筋の通った印象でした。立派な花を1輪だけ咲かせる菊。その姿がお話からイメージしたお祖母様と重なったのです。
病気をしてリハビリ中だという事で元気になって退院して欲しいとの願いもデザインに込めようと思って色々を発想していくうちに、ふと湧いてきたのが吉祥文様の『束ね熨斗(たばねのし)』でした。
『束ね熨斗(たばねのし)』は着物によく使われる伝統文様でご祝儀や引き出物に添えた熨斗がモチーフになっています。お祖母様の全快退院の願いを込めて使うにはぴったりでした。
菊はあえて蕾にして『これから花が咲く(無事退院)』の願いを込めました。
束ね熨斗に留める石はスペサルティンガーネットとルビーです。菊の花の色の宝石を使いました。
菊の蕾には真珠を。
金属はシルバー925。
そして出来上がったラフスケッチがこちらです。
吉祥菊のブローチの制作
このブローチはワックスで原型を作り、キャストという鋳造方法で金属にする方法で作りました。
でご紹介している制作方法と同じです。
束ね熨斗の部分と蕾のガクの部分を別々に作って、後で合体させます。別にする事で束ね熨斗の面が綺麗に作れるのです。
熨斗とガクのパーツを合わせて、さらにブローチ金具と真珠を立てるピンを付けます。
そして最後に石留め。
今回は真珠以外の宝石は彫り留めという留め方をしました。
スペサルティンガーネットのオレンジとルビーの赤のバランスを考えて配置を決めて留めていきます。とても細かい作業です。
そして、細かい工夫が他にもあります。
上記写真の唐草模様のようなパーツはブローチを付けた時にお辞儀してしまう事を防ぐ金具です。こういった見えないところで工夫しています。
菊の花が好きなお祖母様への感謝のブローチのアップ。
菊の高貴なイメージ通り出来ました。
想いが伝わるブローチ
後日、出来上がったブローチをお客様の元へお届けしました。
箱を開けてブローチを見たお客様の言葉がとても嬉しかったです。
お姉さん用のブローチもそうでしたが、このブローチもまるで祖母に会った事のある人が作ったかの様にとても似合うに違いないブローチになりました。私の取り止めのない話からここまで素敵なジュエリーを作ってくださって前田さんに頼んで本当に良かったと思っています。ありがとうございます。
お客様にこんなありがたい事を言ってもらえて、この仕事をやっていて本当に良かったと嬉しく思いました。こちらこそありがとうございました!