
シーズンごとに洋服は買ってもジュエリーには興味なかった。それなのに、ちょっとしたきっかけでムクムクと興味が湧いて来て、お店へ行ったり、ファッション誌を見たり、ネットで調べて”理想のひとつ”を探してしまう。ジュエリーを付け始めるきっかけは、そんな風にさりげなくやって来るみたいです。
あれこれと探しているうちに似た様なフェイスのジュエリーに出会って”どうして、似たデザインなのにこんなに値段が違うの?”と疑問が湧き上がるのも自然な事ですね。
そこで今日は、そんな疑問に答えてみたいと思います。
似た様なジュエリーなのに、なんでこんなに価格が違うの?
とジュエリーを見て思う時、その値段が適正かどうか判断出来ずに不安を感じているのではありませんか?
その不安の答えを見つけられる様に、安心してジュエリー選びを楽しんでもらえる様に、ジュエリーの価格を左右する要素について今日は書きます。
ジュエリーの価格を左右する要素は
大きく分けると
- 材料価格
- 加工費
- 販売に関するその他のコスト
の3つになります。
業界の人が読んだら”そんな大雑把でいいのかよ”とツッコまれそうですが、一般の人にわかりやすく書いてるのでお許しくださいね。
1〜3のそれぞれを、もう少し細かく見ていくと価格が変わる要因が見えてきます。
1、の材料価格は、宝石や貴金属の材料費です。
☆宝石の価格
宝石は種類によって価格が大きく違います。質の良いものは高額になりやすい宝石の代表は、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドは4大宝石たちです。一方、水晶、アゲートなどの石英の仲間は種類が多くて魅力的な割に価格は4大宝石ほどにはなりません。
他にも、産出量がぐっと少なく、美しさなどの宝石の条件を兼ね備えているものはレアストーンと呼ばれて価格が高くなりやすいです。
また、同じ宝石でも、カラット数や透明度、不純物の有無、色の違い、トリートメントなどの有無で価格にはかなり幅があります。
そのため、買う際には上記にあげた宝石の価格を左右する要素についてお店の人に聞いてみて、比較検討して下さいね。
例えばルビーのリングを探しているのなら、
1、同じお店でルビーを使ったリングをいくつか、
2、他のお店でもいくつか
見て、付けて、説明してもらって下さい。そうしているうちにルビーの違いがわかる様になって来ますよ。
実際のお店でなく、サイトの比較ならジュエリーを実際に付ける事は出来ませんが、購入前にショップに問い合わせて下さい。丁寧に答えてくれるショップが良いと思います。
☆貴金属の価格
貴金属の価格は日々変わりますが、その日の売買価格を新聞やネットで誰でも知る事が出来ます。試しにネットで検索してみて下さいね。
ところで、ジュエリーに使われる貴金属は、純度100%のままだと柔らかすぎるので、他の金属と混ぜて合金にして使われるのが一般的です。
プラチナならPt950,Pt900など(Pt1000が純プラチナ)
ゴールドならK18,K14など(K24が純金)です。
純プラチナ、純金の価格はほぼ決まっていますが、合金の価格は混ぜる金属の量と価格で大きく変わって来ます。
その差がジュエリー価格の差になるんですね。
具体的にどのくらい変わるのか、金を例に見ていきましょう。
金合金の価格差の理由
1、品位
日本で使われている金合金は、18金、14金、12金、10金などがあります。(ちなみに、この18金、14金、、、を”金の品位”と言います。)
それぞれ、金の割合を見ると、
18金は75%が金で
14金は58.3%が金
12金は50%が金で
10金になると金の含有率は41.6%と半分以下になります。
この4つでは18金が一番高価で、10金が一番廉価なるのはイメージ付きやすいと思います。含まれる金の割合が明確ですからね。
ですから、見た目が同じ様なジュエリーでも貴金属の品位が高い方が価格も高くなっています。
2、割金(わりがね)
ジュエリーに使われる貴金属は、他の金属と混ぜた合金で、その品位には色々ある事は書いた通りですが、価格に影響を与える要素のもう一つに、合金を作る時に混ぜる金属の種類があります。
その混ぜ合わせる金属の事を割金(わりがね)と言いますが、代表的な金属として、パラジウム 、銀、銅、亜鉛、ニッケルがあります。
これらの金属の価格がいくらかご存知ですか?
2018年4月17日の相場から計算した1グラム当たりの価格は、
金;4970円
プラチナ;3434円
銀;61.02円
パラジウム;3667円
銅:0.7円
亜鉛:0.3円
ニッケル:1.5円
です。検算したので計算間違えないと思います。。。
ここにあげた金属のうち、金、プラチナ、銀を除いた4種類の価格を見比べると、かなり違う事に気づくと思います。一番高いのはパラジウム。なんとプラチナよりも高い3667円!それと比べて一番安いのは亜鉛の0.3円。けたが違いますね。
つまり、貴金属に含まれる割金の種類の違いが、その合金の価格の違いになるのです。
わかりやすいのは18金ホワイトゴールドで、
18金は75%が金、その他金属が25%の割合で出来ているのは前述の通りですが、ホワイトゴールドは25%の割金のうち、その白さを出すためにパラジウムかニッケルのどちらかが入ります。
つまりホワイトゴールドには大きく分けて
1、金+パラジウム +他の金属=パラ割(ぱらわり)
2、金+ニッケル+他の金属=ニッケル割(にっけるわり)
の2種類あるのです。
1と2はどちらも18金ホワイトゴールドで間違いないのですが、パラジウム とニッケルの価格が大きく違うので、同じ18金ホワイトゴールドとはいえ価格がかなり違うのです。
ですからもし、18金ホワイトゴールドを使った似た様なリングが2本あって、その価格がかなり違うのなら、それはパラ割のリングと、ニッケル割のリングかもしれません。
で、本題とは少しずれますが、ニッケルは金属アレルギーの問題もあって、
日本ジュエリー協会によって2004年に示したニッケル含有貴金属の使用に関する指針では、
ニッケル含有貴金属の使用
- ピアスイヤリングや体に穴をあけて用いる装身具のポストアッセンブリーにはニッケル含有貴金属を使用しないものとする。
- 上記以外におけるニッケル含有貴金属の使用は制限されない。
- ニッケル含有貴金属を使用する場合、金属アレルギーの原因物質が含まれている旨を顧客に通知する。またコバルト含有貴金属においても同様とする。
一般社団法人日本ジュエリー協会
とニッケルを含む貴金属を使った場合の定めがあります。
つまり、ピアスのポストの様に体の傷に直接触れる部分以外ならニッケル含有貴金属の使用は認められています。ただし、ニッケルを使っているときはお客様にきちんと告知してね、という事なんです。
金属アレルギーの原因なのだから、ニッケルなんていっそのこと使わなければいいじゃないの?と思いますが、ニッケルには硬さとバネ性に優れるという利点がありますし、前述のとおり、18金ホワイトゴールドをパラ割で作れば価格を抑えられるのでジュエリーにはまだまだ使われているのです。
ちなみに私のアトリエで使っているホワイトゴールドは全てパラ割です。
さて、ここまでジュエリーの価格に影響する材料の話を書きましたが、
- 使われる宝石の価格と
- 使われる貴金属の品位と割金の種類
がジュエリー価格に影響を与える事がわかったと思います。
例えば、見た目の似た2つの18金ホワイトゴールド製ルビーリングがあって、価格がかなり違った場合、
ルビーのグレードは?天然or合成?加熱処理はされてるの?
18金ホワイトゴールドはパラ割?ニッケル割?
そんなことを気にしながら比べてみてください。
では、長くなりましたので、
2.加工費
3.販売に関するその他のコスト
は次回に書きますね。お楽しみに!
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