美大受験2019年・浪人生A君から頂いたメールへの返事/美大受験で合格をもぎ取るコツ


KELENサイトのお問い合わせに、下記メールが届きました。
送り主は今年1浪している美大受験生のA君。
面識はなく、私が昔書いた美大受験をテーマにしたブログ記事を読んで質問してくれたのでした。

”美大受験のアドバイスを書かれている記事を拝見させて頂きました。私は今、一浪していて私大を目指しています。実技試験の構成デッサンや平面構成が全く上手く出来るようにならず、努力の仕方も分からず苦しいです。上達の近道に作品を模倣すると書かれていましたが試験の参考作品を見たままそのまま描いていくと言う事でよろしいのでしょうか?拙い文章ですみません。よろしくおねがい致します。”

 

1浪と言うことは、我が子と同い年。
実の息子からの助けを求めるメールの様な氣がして、なんとか力になってあげたくて、すぐ返信を書くことに。
パソコンに向かうも、美大受験に関する記事を1本書いた記憶はあれど、はて、どんな内容だったか??と内容はまったく覚えていなかったので、あらためて読み直しました。

2018年美大受験生に贈る合格のためにあんまり役に立たない実技試験合格のコツ

ふむふむ。こんなこと書いていたんだ私。

思うことを書き綴り、送信した後、ひょっとして同じ様に悩んでいる美大受験生はいっぱいいるのかもしれない。他の悩める娘、息子の役に立つかも。と思いついてこのブログ記事にしました。

美大受験1浪生Aくんへのメール

A様

こんにちは。お問い合わせ読みました。

今は夏期講習の最中ですね。
浪人生にとってはタフな毎日が続いている事と思います。

周りでは、上手い多浪生や現役の勢いを間近で感じられて、
自分だけなかなか上達したように思えず焦ってきているのではないでしょうか?

焦るのはいい事です。自分に「足りない」事がわかっている証拠ですから。
でも焦りっぱなしはダメです。
深呼吸して、なぜ焦っているのか、その原因を見える化しましょう。
そうすると、何をやればいいのかわかるので
「何をやったらいいのかわからないし努力の方向もわからない」という
運任せでギャンブルの様な状態から抜け出せますよ。

1浪で私立美大を目指しているということは多摩美かムサビでしょうか。

久しぶりに多摩美、ムサビの過去問をみてみました。
今はサイトがあるからすごい親切ですね。
過去問の掲載はあたりまえで、
問題の出題意図や高得点作品も載っている!!
評価コメントまで付いている!!
すごい親切!!
とびっくりしました。

課題の見える化は受験科目ごとに作って下さい。

はじめに意識して欲しいのは、受験は高得点を取るゲームだという事です。

どういうことかと言うと、多摩美グラフィック一般入試ですと、
学科(国語、英語)各100点、構成デッサン、平面構成各150点の合計500点満点で
点数を競います。
昨年の合格者データ
http://www.tamabi.ac.jp/admission/data/resources/result19_h.pdf

を見ると、グラフィックの合格者のうち、最高得点者は481.50点、最低得点者は389.50点
で、トップとギリ合格者の間ではおよそ100点の開きがあります。
トップで合格できればかっこいいですが、
合格するのが一番大事なので、ビリでも合格すればいいのです。
そう思えば少し氣が楽になりませんか?

そこで、とりあえず400点取ることを目標とします。
あとは4科目で、どのような配分で得点するのが自分にはあっているのか
戦略を立てましょう。

1、学科

A君は、学科には自信がありますか?
あるのなら、国語、英語共に満点取る勢いで頑張って下さい。
自信がなく、何からはじめたら良いのかわからなければ、家庭教師を頼むとか、
代ゼミ、河合塾などの学科予備校を利用して、勉強のスケジュールを作ってもらいましょう。
あとは毎日やるだけです。
学科はやればやっただけ実力が付いてきます。
学科の得点が出せる様になると、実技が思う様に伸びなくても氣持ちが楽になります。
毎日実技やりながら、時間配分が大変でしょうけれど、
「毎日」やる事と、やる時間を決めてコツコツ頑張って下さい。
学科の10点は伸ばすの簡単です。
ここは国語、英語両方満点取るつもりで頑張って下さい。
満点取るつもりでやっても、本番で満点は難しいので、
実技で心の余裕が持てる様に満点目指す!です。

2、構成デッサン

多摩美の合格者作品を見ると、

毎年「両手と何か」の構成デッサンと出題パターンは決まっています。
出題意図や、採点基準も書いてあるので、それに応えれば得点が付くと言う事です。

で、その出題意図と採点基準をみれば、何を模倣するか見えてきます。

グラフィックの構成デッサンの出題意図は、

“デザイナーとしてビジュアルコミュニケーションするのに必要なデッザン力を求めています。それには創作の原点ともなる日常の観察、そこから生まれる発見、考え、ひらめきなどが引き出せる様想定デッサンを問題にしています”

 

とある様に、とにかく両手と何かを描けば良いのではなく、伝えたい事を画面構成で明確にしなくてはいけません。

プラス、描写力です。

そのため、構成の自分の勝ちパターンを作るために模倣します。

①両手の構成。

どんなモチーフが出てもこの構成で描く!と自分の得意な構成パターンを1つ2つ作っておく事です。
楽器でも、花でも、金槌とノミでもこの構成!手はこのポーズ!!というパターンです。

そのため、上記合格者作品でもいいですし、通っている予備校の参考作品でもいいですから、
これを真似したいと思える作品の構成を分類してみて下さい。
上記の合格者作品には、とても似ている構成がいくつもある事に氣がつくはずです。
構成でオリジナリティを出す必要ありません。
むしろバランスの良い構成はだいたい似たり寄ったりになるもの。
上手い人の構成をみて、ラフで良いのでエスキースをして、
自分にできそうなパターンを一つ二つ、決めましょう。

②描写力

両手が出る事はわかっているので、1の構成のパターンを決めたら、合格者作品や参作を模倣しましょう。

  • 両手
  • 質感の描き分け(金属、木、紙、水、鏡、プラスチック、自然物など)

の描き分けに自信が持てる様に模倣を繰り返しましょう。

3、平面構成

これも2と同様、大学の出題意図を読んで、何を要求されているのか把握して下さい。

”条件を大胆に切り詰める事が大事”

 

と出題意図にある様に
シンプルで明確な答えを作る事が大事です。
合格者作品を見ると、全て色も構成もシンプルで明確ですよね。

ですから、これらの作品を一つ一つ模倣しましょう、贋作作家になって、
そっくりに描きましょう。色も同じ色にする事を意識して下さい。
配色が苦手な人は、綺麗な配色を真似しているだけで上達します。

いくつも真似ていると、自分好みの
配色パターン、
構成のパターン
がわかってきます。
こうなってくると次第に構成にオリジナリティを出す余裕が出てきますよ。

4,目標得点配分

最後に4科目の配分は、
学科各80点
実技、各120点
合計400点
くらい取れそうな自信を付けましょう。

 

以上、
余計な事も色々書いて、長くなってしまいましたが、
これから、受験日までにやる事を戦略的に見える化して、
一つ一つクリアして、
今の闇雲な状態を抜け出し、
受験というゲームの主導権を自分の手に取り戻しましょう。

あと、私は普段受験生を教えておらず、
受験から遠ざかって随分経つので
上記のアドバイスが的外れの可能性もあります。

通っている予備校の先生は美大受験を終えたばかりの人が沢山いて、一番美大受験を知っている存在のはずです。

先生のアドバイスをきちんと聞いて、
何をやれば良いのか課題を明確にして、
諦めず、コツコツ頑張って下さい。

大丈夫です。

ゴールをしっかり見て、
自分を信頼して、
体調を整えて
挑んで下さい。

応援しています。

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A君、そして他の美大受験のみなさまの健闘を心から祈っています。

(前田 朋子)

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