ジュエリーを買う時に気にしてる?メッキがかかっているのは安い!は間違いです。

皆さんはジュエリーやアクセサリーを買う時に、使われている貴金属についてどの位氣にしていますか?

宝石のことなら、大きさや色、透明感など氣にして見ている人がほとんどなのではないでしょうか?中でもダイヤモンドは4Cというダイヤモンドの品質基準が設けてあるので買う場合には4Cを参考に買う人が多いでしょうし、4Cがあるお陰で、誰でも品質を合理的に判断できるようになっています。

一方、貴金属についてはどうでしょうか?

イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなどの貴金属の色には目が行くけれど、純度やメッキが施されているか、いないのか?まではほとんどの人が氣にしていないのではないでしょうか。

メッキがかかっているジュエリーというと安価なものと思われがちです。買って間も無いのにメッキが剥がれてしまう物があるためだと思いますが、一概にそうとも言えないのです。一口にメッキと言っても手を抜いて安く済ませればすぐに剥がれてしまうかも知れませんが、手間暇かけて加工すればめったな事では剥がれない様になります。

そこで、今日は、ジュエリーを買う時に役に立つ貴金属につけるメッキの話です。

ジュエリーに使うメッキの話

まずメッキが何か知らない人のためにメッキについて説明します。

メッキってなに?

メッキとは、金属や非金属の基材の表面に薄い金属皮膜を生成する事を言います。メッキの方法は数種類有りますがメッキ金属を溶かした液体に基材を入れて電流を使って皮膜をつくらせる電気めっきが主流です。ジュエリーに使う代表的なメッキは金メッキ、ロジウムメッキ、ニッケルメッキです。
近年はアレルゲンになる事からニッケルレスメッキが多くなっているのですが、すべての製品にニッケルメッキをかけていない訳ではありません。必要と判断する場合はニッケルメッキもかけています。その理由は次にお話します。

メッキの目的

メッキの目的は3つあります。

一つは保護のため。
真鍮や銅といったアクセサリーによく使われる金属や銀は、そのまま金属の肌がむき出しだと変色、腐食してしまいます。そのため表面をメッキで保護して変色、腐食を防ぎます。銀製のジュエリーにメッキをかけるのはこの為です。ただ、中には銀の変色をよしとするブランド、製品もあって、メッキをかけない場合もあります。

二つ目の理由は、化粧のため。
見た目を美しくする目的でかけられるメッキです。メッキをかける事で色が均一になり美しく見えるのです。一つ目の理由で銀製品は変色を防ぐ為にメッキをかけると書きましたが、実はこの化粧の意味もあります。銀製のジュエリーは色ムラが表面に出る事が多く、それを隠すためのメッキでもあるのです。

3つ目は機能的目的です。
クレジットカードに付いているICチップがわかりやすい例です。金色をしていますが、金メッキを施されています。これはカード情報を読み取るという機能のためのメッキです。また、一つ目、二つ目でも紹介している銀製のジュエリーはそのままだと銀特有の黒ずみが衣類を汚してしまう場合があるため、ブローチやタイタック、カフリンクスのように衣類に直接触れるアイテムの場合必ずメッキを施しますが、これは機能的目的によるメッキです。

メッキ金属の種類と純度

ジュエリーで使うメッキは金メッキ、ロジウムメッキが多く、製品によっては下地にニッケルメッキをかけています。

ニッケルメッキについて。

金属アレルギーの主なアレルゲンのため悪者の印象があるニッケルですが、光沢が出る事や硬さという利点もあります。そのため、直接肌にふれる指輪、イヤリング、ネックレスはニッケルは使いませんが直接触れないアイテムはニッケルメッキを下地に使っているものもあります。光沢が出て美しくなる事と、ニッケルをかけない場合と比べて硬くなるので傷つきにくくなるためです。何かとぶつかる可能性の高いジュエリーアイテムは指輪とカフリンクスが代表選手ですから、この二つは傷防止にニッケルメッキをかけたい所ですが、指輪は肌に直接触れるためかけません。一方カフリンクスはシャツの生地に付けて使うアイテムで肌に直接触れないためニッケルメッキをかけてその上にロジウムメッキなどをかける場合があります。

金メッキについて

日本工業規格(JIS規格)では、金含有率99.9%以上を金メッキ、金含有率58.5%以上99.9%未満を金合金メッキと定めています。つまり、金メッキと呼べるのは厳密には金含有率99.9%以上の純金メッキだけなのです。しかし、ジュエリーに使う金メッキは24金(純金)、18金、14金メッキともに一般的に金メッキと呼ばれています。

金メッキの色は最近バリエーションがとても豊かで、イエローゴールドでも大きく分けて青みの強いものと赤みの強いものがありますし、グリーンゴールド、ピンクゴールド、などもあります。

メッキの厚み

メッキをかける時、厚みを調整する事が出来ます。

メッキの厚みの単位はミクロン(μ)ですが、何μかけるかによってコストが変わるので、一般的に安価なアクセサリーは薄く、ジュエリー品質の製品の方が厚くかけられています。厚くかけた方が丈夫になるので、すぐに剥がれたり、腐食してしまう事はありません。

基材の加工法の違いによるメッキの耐久性の違い

基材とはメッキをかける前の金属の事です。ジュエリーの場合、プラチナ、金、シルバーです。

加工法はキャスト(鋳造)と鍛造の2種類あって、基材がどちらで作られたかによってもメッキの持ちは違ってきます。

キャストの場合、どうしても基材の表面に巣という月のクレーターの様な凹みが出ます。目立つ物は加工段階で削り取りますが、ごく小さなものが残る場合があります。その小さな巣が残っている基材にメッキを乗せると、時間と共に、巣とメッキ層の間から腐食して小さな水玉模様状にメッキ剥がれを起こす場合があります。

キャストで作られるジュエリーはとても多いです。そのため基材の表面を丁寧に研磨して巣を潰し、メッキ前の洗浄や脱脂を丁寧に行い、メッキ層を厚くする事で早々にメッキが剥がれるという事が無い様に作られていますのでご安心下さい。この工程の手間の掛け方がジュエリー、アクセサリーの品質に出ます。

一方、鍛造とは金属を叩いて変形させる製造方法なので、キャストのように表面に巣が出る事はありません。そのためキャスト製品よりもメッキの持ちがよいと言われています。

ジュエリーもそうなのですが、腕時計でもこれが顕著に出ます。下の写真は筆者所有の腕時計の拡大写真です。キャストのものはブツブツとメッキ剥がれが進んでいます。古いものなので仕方ないのですが、ここまで進んでしまうと再研磨と再メッキが必要です。鍛造のものはかれこれ20年以上前のものですが、使用感はあるものの剥がれはおこしていません。

経年劣化によるメッキ剥がれ
経年劣化によるメッキ剥がれ
時間が経ってもメッキはガレを起こさないものもある
時間が経ってもメッキはガレを起こさないものもある

貴金属別よくあるメッキの組み合わせ

では最後に貴金属別によくあるメッキの組み合わせをご紹介します。なお、これはメーカーによって基準が違い、必ずしも当てはまらない場合もありますので、疑問があったら販売店で質問されて下さい。

プラチナ

仕上げにロジウムメッキをかける事が多いです。主な理由はプラチナが黒ずんだ印象の色のため綺麗に見せる化粧目的です。肌に触れないアイテムは下地にニッケルメッキをかけてからロジウムメッキをかけるものもあります。

イエローゴールドはかけませんが、ホワイトゴールドはロジウムメッキをかけます。ホワイトという名が付いているものの、若干黄色味がかっているためです。筆者がオーダーメイドで作った事例では、あえてメッキをかけずホワイトゴールドの色のまま仕上げたものもあります。

ほとんどの場合ロジウムメッキをかけます。下地にニッケルメッキをかけるものもあります。理由はすでに書きましたが、変色してしまう事や色ムラ、衣類を汚さない防汚目的です。ただ、銀の温かみのある色合いを好む人も多い為、オーダーメイドジュエリーなどの場合は変色する事を承知の上でメッキをかけない物もあります。

ジュエリーのメッキには理由があった。

以上の様に、ジュエリーにメッキをかけるのは貴金属ごとに理由があります。メッキ=安いではなく、多くは見た目の美しさのためだと理解して下さい。もちろん

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アートトリップマガジン 「風のかをり」

あえて知らない場所へ行き、まだ見たことのないその地から受ける刺激は新たな創造の種となってくれます。 その土地の気候、動植物、住む人たち、食べ物といったその場所の全てが作り出す空気感を私は「かをり」と呼んでいます。 たとえ徒歩で行ける場所でも、そこから何か刺激を受け取ったらそれは旅です。 距離の長短ではなく、日常とは違う、自分の人生をより良くしてくれる刺激を与えてくれる場所に行くことを私は旅と呼んで、そこから感じたかをりをお届けします。