風になびくネモフィラ畑をイメージ

大好きな花をモチーフにしたブローチをオーダーメイド

 

オーダーメイドジュエリーを作る時、女性に人気のあるモチーフの定番は“花”です。バラ、プルメリア、桜、などなど好きな花は様々で、デザインも具体的に花の形をデザインしたジュエリーもあれば、花のイメージで抽象的デザインにしたジュエリーもあります。

ご紹介するジュエリーは、好きな花をイメージして抽象的なデザインに仕上げたものです。どのようにして花のジュエリーが出来上がるのかご紹介します。

 

ご依頼内容

ご結婚を控えたお嬢様より、結婚に際して、お母様への感謝の気持ちをジュエリーに託して贈りたいとご依頼頂きました。

叔母様から結婚祝いにと譲られたアコヤ真珠のネックレスとブレスレットのセット、ブローチがあって、それを使って作りたいとのオーダーです。

お客様よりお預かりしたアコヤ真珠のジュエリーセット
お客様よりお預かりしたアコヤ真珠のジュエリーセット

これは、譲り受けたパールのネックレスを自分用にプチリメイクでご紹介したお客様です。

上記のセットアップをウエディングドレスに合わせる真珠のネックレスにプチ・リメイクした後に残った真珠があります。それを使って3つのブローチを作ります。

お客様のお母様、お姉さま、御祖母様へ感謝の気持ちを込めてブローチを贈りたいとご依頼いただいたのです。

その一つ目はお母様へ贈るブローチです。

その後出来上がったお姉さまへのブローチは

ご結婚を控えたお嬢様から感謝のジュエリー3部作-お姉さまへ

御祖母様へのブローチは

ご結婚を控えたお嬢様から感謝のジュエリー3部作-お祖母さまへ

でそれぞれご紹介しています。

 

デザインは好きな花から

モチーフはどこから?

ヒアリングの中で、お母様の好きな花の話になりました。いくつか好きな花はあるけれど、中でも「ネモフィラ」が大好きなのだそうです。

ネモフィラと言えば青色の小さな花。1輪で咲くのではなくてたくさんの花が群生しているイメージがあります。

ネモフィラの花が丘一面に咲き風になびく景色が頭の中に浮かびました。

風になびくネモフィラ畑
風になびくネモフィラ畑

“風になびくネモフィラ畑”

これをモチーフにデザインする事にしました。

 

デザイン

風になびくネモフィラ畑をどんな風にブローチにするのか考えるときに、真っ先にイメージするのは完成したジュエリーを身につけている姿です。お母様の印象からどんな形が似合うのか考えてデザインします。

そして最終的に出来上がったのがこのブローチデザインです。

ブローチのデザイン画
ブローチのデザイン画

 

7本の帯を扇型のフォルムに連ねて、それにうねりを加えて風になびくさまをデザインしました。

ネモフィラの青はアメシスト、アイオライト、ブルートパーズで紫から青へのグラデーションで表現。

メインのアコヤ真珠がネモフィラ畑をコロコロと転がる様なイメージのブローチです。

ドローイング制作の動画を作ってみました。instagramでフォローして下さると嬉しいです!

制作

ブローチ全体はキャスト(鋳造)という技法で作ります。今回の様な複雑な形を作るには最良の技法です。ワックスで原型を作ってキャストしてシルバーのブローチにします。

仕上げは、ブローチ本体の7本の帯が綺麗に連なる様にうねりが出る様に気をつけながら磨きます。

アメシスト、アイオライト、ブルートパーズは色と形が綺麗なグラデーションになる様な色と大きさを選び彫り留めします。

アコヤ真珠も大きいものから小さいものへ流れる様に並べました。

完成

波を打つ様にうねる7本の帯と真珠の大小のグラデーション、色石の紫から青へのグラデーションを上手くつなげる事が出来ました。

風になびくネモフィラ畑をイメージ
風になびくネモフィラ畑をイメージ

 

別角度から。

ネモフィラブローチの出来上がりです。
ネモフィラブローチの出来上がりです。

お客様からのメール

後日、ブローチをお母様へ渡されたお客様からメールをいただきました。

とても心のこもった内容に思わず涙が出てしまいました。

許可をいただき、一部抜粋でご紹介させて下さい。(個人が特定出来る情報は削除しています)

両親へジュエリーをプレゼントしようと思ったのは、今までの人生で心からありがとうと両親へ伝えたことがなかったからです。ジュエリーはずっと色褪せることなく輝くものだし、前田さんは私の母や父のイメージを大切にして制作してくださる方だから本当に特別なジュエリーが仕上がること間違いなし。それもあり感謝の言葉を添えてジュエリーをプレゼントしようと思い立ちました。

クリスマスに両親にブローチとビンズをプレゼントしました。驚きと感激でそわそわして落ち着かない両親でしたが、照れくさそうにありがとうと言ってくれました。お正月に帰省した時には、母は赤いセーターにさりげなくブローチを付け、父は真っ白なアイロンのきちんとかかったシャツの襟元にこれもさりげなくビンズを付け、私たち夫婦を迎えてくれました。両親はブローチもビンズも、毎年の大切な節目や人生の節目には必ず身に付けると言っています。父は50年近く続けてきた仕事を引退することを考えているそうです。私はスーツにビンズを付けることを勧めました。ビンズは“外の世界で戦う男性のお守り”だからスーツにつけるといいと思ったのです。父は「俺はおしゃれに疎いからなぁ」と言いつつも、私の提案に微笑みながら深く頷いていました。おそらく最後の勤務日にはビンズを付けるだろうと思います。

実はジュエリーは無事に両親に渡せたけれど、恥ずかしくてまだはっきりと感謝の言葉を伝えていないのです。4月の桜が満開の時期に両親と花見をする予定です。お花見弁当をこしらえて、涙は見せず笑顔で「今まで本当にありがとうございました。」と勇気を出し伝えます。前田さんにはそのつもりはないかもしれませんが、私は背中を押してもらっています。そして、前田さんのおかげでぎくしゃくしていた親子関係も修復に向かっています。本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。

 

こんなに素敵なメッセージを頂けるなんて

ジュエリーの仕事をしていて本当に良かったと思います。

こちらこそありがとうございます!

 

作品詳細

 

使用宝石:アコヤ真珠、アメシスト、アイオライト、ブルートパーズ

使用貴金属:シルバー925

 

アイテム:ブローチ

制作日数:約1ヶ月

デザイン・制作:Tomoko MAEDA/前田朋子 KELEN

写真撮影:KELEN

制作費内訳

デザイン費/加工費/貴金属地金代/宝石代/他

オーダーメイドの特性上、お客様のプライバシーをお守りするためこのジュエリーの金額の詳細は載せておりません。

シルバー×宝石でブローチをお作りする場合、下記の価格より制作出来ます。

 

お問い合わせはこちらまで。

 

風になびくネモフィラ畑をイメージ
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アートトリップマガジン 「風のかをり」

あえて知らない場所へ行き、まだ見たことのないその地から受ける刺激は新たな創造の種となってくれます。 その土地の気候、動植物、住む人たち、食べ物といったその場所の全てが作り出す空気感を私は「かをり」と呼んでいます。 たとえ徒歩で行ける場所でも、そこから何か刺激を受け取ったらそれは旅です。 距離の長短ではなく、日常とは違う、自分の人生をより良くしてくれる刺激を与えてくれる場所に行くことを私は旅と呼んで、そこから感じたかをりをお届けします。