プチ・リフォームはジュエリーリフォームの定番なんです。
アトリエでは日々ジュエリーにまつわる様々なご相談を受けるのですが、創業以来変わらずにずーっと依頼が入り続けている定番のご相談があります。
それは、プチ・リフォームなんです。
プチ・ジュエリーリフォームってなに?
ジュエリーリフォームと聞くと、お手持ちのジュエリーを全く別のデザインに作り変える様なガラリと印象を変えるものをイメージする方が多いと思います。デザインを決めてから出来上がりまで手間がかかり、ここぞという時に頼むものと思っていませんか?
実際にオーダーメイドジュエリーの仕事の中には、その様なフルチェンジをさせるリフォームもありますが、
「リングサイズを直してほしい」
「チェーンの長さを変えて欲しい」
「留やすい金具に変えて欲しい」
「クリーニングして欲しい」
などのちょこっとしたリフォームも多いのです。
こういったちょっとしたリメイクをプチ・リフォームと呼んでいます。
プチ・リフォームのメリット
お母様やお祖母様から譲られる事がとても多いジュエリーですが、
その後のジュエリーの運命は以下のどれが多いと思いますか?
- そのまま使用する
- リフォームして使用する
- しまったまま身につけない
- 買取りに出す
きちんとした統計を取った訳ではなく、あくまでも経験上ですが、
買取りに出す
が多いのです。
けれど、買取りに出す時に評価されるのは貴金属の純度と重さ等からわかる物質的価値だけです。
デザインの良し悪しやそのジュエリーに込めた想いなどは全く評価されません。
一方、ジュエリーリフォームはお客様のお話を聞きながら、譲られたジュエリーをどの様に直したらお客様に一番似合い、普段から使って頂けるのか考えてデザイナーが提案します。
ですから、元々のジュエリーの良さを生かして一番似合うジュエリーに変身させる事が可能なのです。
リフォームの中には石を外して一から作り直すをご提案する事もありますが、ほんの少し手直しするだけという提案も少なくないのです。
例としては、お母様から譲り受けたリングのサイズ直した事例があります。それまではサイズが合わないために長年タンスにしまいっぱなしだったそうですが、お客様の指にぴったりのサイズに直してからはヘビーローテーションするジュエリーに仲間入りしたそうです。
プチ・リフォームすると日常的につけられるジュエリーが一つ増えて楽しくなりますよ。
プチ・リフォーム制作事例
プチ・リフォームでジュエリーに込められた想いを受け継ぐ
ここでプチ・リフォームの事例をご紹介します。
6月にご結婚された女性から依頼頂いた真珠のセットアップのプチ・リフォームです。
この真珠のセットアップは、ご結婚のお祝いにと御叔母様から譲られたものです。これをウエディングドレスに合うネックレスとイヤリングにリフォームするのが今回の仕事です。
写真のように、御叔母さまから譲られたジュエリーは2連のネックレスとブレスレット、ブローチです。巻きも照りも良く、お手入れもとても綺麗にされていました。
これを、お召しになるウエディングドレスに似合うネックレスとイヤリングにお直しします。
ウエディングドレスの写真を見せて頂きましたが、とてもシンプルで可愛らしいデザインで、ドレス丈はロングではなく、足首の見えるフレアースカート(ミモレ丈)でした。見た瞬間に、「不思議の国のアリス」の主人公、アリスをイメージしました。もしもアリスが結婚式を挙げるとすれば、きっとこんなシルクのかわいらしいドレスを選ぶでしょうねと思ったのです。
ですから、お直しするネックレスとイヤリングも華飾を極力つけないでシンプルにかわいらしく作った方が断然お似合いになると思いました。真珠がとても良質なものですから、それだけで十分上質な優雅さを出せるのです。
そこでご提案したのは、
ネックレスは、元のイメージを変えずに長さをお客様に合わせます。ブレスレットからネックレスに真珠を移植して長さを少し出します。
そして残ったブレスレットの真珠から大きさのあう6粒を選び、3粒づつ耳たぶに真珠がくっついた様な印象のシンプルで可愛いイヤリングにします。
そして出来上がったものがこちらです。
お客様の撮られた写真です。
真珠の質の良さが映えるシンプルネックレス
ネックレスはウエディングドレスの首周りデザインにあわせて長くする必要がありました。セットのブレスレットがあるので、そちらから真珠を移植してネックレスの丈を変更しました。
セットアップのジュエリーはネックレス、ブレスレットそれぞれに使っている真珠の色や大きさを揃えるので、プチ・リフォームする時に移植する真珠の色と大きさを合わせる事に神経は使いませんでした。
ちょこんとかわいいイヤリングに変身
イヤリングは真珠が3粒、耳たぶにちょこんとくっついたイメージでシンプルなデザインにしました。使用した真珠は、ネックレスと同じくブレスレットから移植しました。台はプラチナです。真珠のイヤリングの場合、気を使ったのは真珠の穴の位置です。もともとブレスレットについていた真珠ですので糸を通すために貫通穴が空いています。それをそのままイヤリングにすると、真珠におへそのように空いた穴が見えてしまうのです。できれば穴の開いているところは見せたくないので、貫通穴が横を向いて身につけた時には穴が見えないように真珠の位置を考えてを留めるのです。そのために3つの真珠の位置を慎重に決めながら新たな穴を開けました。出来上がりの写真を見てどうですか?貫通穴は目立たなく処理されているので、どこに穴があるのか見えないでしょう?
お客様とお母様から嬉しいお言葉を頂きました。
納品はウェディングドレスのフィッティングの場にお邪魔して行わせて頂きました。ドレスのアトリエに伺うとお客様と共に、お母様いらっしゃっていました。
ウエディングドレスを試着したお客様にネックレスを付けて頂き、長さの確認しました。ドレスのデザインと全体のバランスを見て、ネックレスの長さがぴったりだったので安心しました。また、アイボリーホワイトのシルクドレスに暖色味がかった色の真珠がとっても似合っていました。
お母様から「ありがとう。これを下さった叔母さまもきっと喜んでくれます。」とおっしゃって頂いてとっても嬉しかったです。
そして後日、お客様が結婚式の写真を送って下さいました。
ドレスと同じアイボリーホワイトのリボンをヘッドドレスにして、本当にかわいらしいアリスの様な花嫁さんの笑顔がありました。ハワイの明るい空の下、暖かく柔らかでかわいらしい花嫁さんの笑顔がとても綺麗でした。幸せのおすそ分けをありがとうございました!
実はまだまだ続きます
このプチ・リメイクでネックレスとイヤリングに変身したブレスレットの真珠。まだ数粒残っているのですが、これを使ってさらにプチ・リフォームは続きます。お客様からご家族への感謝の気持ちを込めたジュエリー3部作になります。
後日、一つ目の“ご結婚を控えたお嬢様から感謝のジュエリー3部作-お母様へ”が完成しました。
お手持ちの眠っているジュエリーのプチ・リフォームはおすすめですよ。